ずっとやりたかった、生産者さんをお招きしてのミニ勉強会。

記念すべき第1回目の先生は、

中里敬(なかさと たかし)さん。岩手県二戸の果樹農家・権七園の9代目です。

お砂糖を加えず、ブルーベリーを煮詰めただけの「ブルーベリーのことこと煮」など

果物の加工品を「ニッコリーナ」で販売させて頂いています。

 

ことこと煮

 

 

【権七園の春夏秋冬】

 

春 梅→桜→さくらんぼ→りんご→ブルーベリーと開花リレー。

  さくらの開花時期で、りんごの開花時期を予想する。

  主な作業は、花を摘む「摘花」と、伸びる雑草の草刈り。

  1本の木に5000~1万咲くりんごの花を、100くらいまでに減らす。

 

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夏 さくらんぼ、ブルーベリーの収穫がはじまる。

  多いときは1日100キロ(!)のブルーベリーを収穫することもある。

  「ブルーベリーのことこと煮」は1年分をこの時に確保。

 

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秋 りんご収穫の大繁忙期。中里さんいわく「地獄・・・」

  サンふじだけで1500ケース分を手摘み(「機械欲しいなー」が口癖になる)。

  二戸は寒いので、収穫時期が遅くなると樹上凍結の恐れがある。気温・天候との勝負。

  1年間やってきた作業の成果が果実に現れる、勉強の時期でもある。

  近所の農家さんたちと食べ比べをすることも。

 

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冬 剪定作業(お父さんと二人で5000本20品種以上のりんごの木を剪定する)。

  5年先の木の姿を思い浮かべながら切る。剪定で出来の9割が決まる。

  あとは確定申告と総会ラッシュ。

 

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【二戸のこと】

 

岩手と青森の県境にあり、面積の60%が丘陵地帯。

地域内での標高差が大きく、寒暖の差も大きい。

「やませ」呼ばれる冷たい風が吹き込むため、真夏でも最高気温と最低気温の差が

「30度」と「12度」などダブルスコアになることも。

 

この気候はブルーベリー栽培にとても適していて、

寒さで甘さが増し、日中の高い気温で熟度が増す。

気温差のストレスで味に深みが増すんだとか。

 

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【Q&A】

 

参加者から色々と質問させていただきました!

 

◆「ブルーベリーのことこと煮」はなぜ砂糖を使わないことにしたのですか?(増野副店長)

 

中里さん:行政から「6次化」でジャムをつくれって言われてつくってみたんだけれど、

あまだるいジャムは好きになれず、砂糖を入れずに作ってみようと思った。

農家なので生の果物の味を知っているから、その味が良いなと。

砂糖を入れていなくても、糖度は30度くらいあります。

 

◆どういうお店に自分の商品を置いてほしいと思いますか?(スタッフ草野)

 

中里さん:良品工房とのお取引がはじまるときにもらった手書きのFAXに「大切に販売します」とあった。

そのようなことを言ってくれたお取引先ははじめてで、ずっと忘れられないです。

ことこと煮を大切にしてくださる方と今後もお付き合いしていきたい。

 

◆ブルーベリー栽培を始めたきっかけは?(スタッフ星川)

 

中里さん:30年前に県の補助があったのが始めたきっかけ。県内では最古の木です。

まだ農協の取り扱い品目になっていなかったから、自分たちで販路を築きながらなんとか続けてきた。

だから今でも青果は100%直販です。

最初の頃、父はブルーベリーの木を切ってしまおうとしたこともあった。

でも母が「なんや、かわいいから取っておきたい」と言うので、切らずに栽培を続けてきたんです。

 

◆今後の目標を教えてください。(白田さやか)

 

中里さん:りんごの育種です。

30~35歳のメンバーで自分たちのりんごの品種をつくる取り組みをしています。

数量や面積は小さいけれど、ここには「おいしい果物があるよ」という産地にしたい。

 

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【勉強会を終えて】

 

毎日店に立っていた4年半で、「つくった人の顔が思い浮かぶ商品は、売るときの気合が違う」ということを実感していました。
つくり手のことを知っていれば値引きはしたくないし、ましてロスなんて絶対に出したくない。
そう思うと自然と販売にも工夫が生まれます。

「どうしたらもっと魅力が伝わるだろう」
「どう陳列したら一番輝くだろう」

スタッフにもそんな気持ちを持って貰えたら良いな、と思って開いた今回の会。
終わってみるとスタッフからはこんな感想が聞かれました。

 

・正直高いと思っていたけど、お話を聞いたらむしろ安いと思った。

・お話を聞くことで、単なる「商品」に見えなくなった。お客様に想いを伝えたい。

・中里さんのお人柄、ザ・農家さん、お会いできてよかった。

・驚きの連続だった!お客さまに伝えたい!ことこと煮の食べ方を研究したい。

・東京にいながらにして、産地が見える、想像がふくらんでわくわくした。

・次は産地に行ってみたい!

・顔を知っている人の商品を売りたい。直接お会いすることで、より大事にする気持ちがうまれる。

勉強会の日は「社食」の日でもあったので、

中里さんにもスタッフと一緒に社長お手製のランチを食べて頂きました。

 

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こちらの漆器は中里さんからの贈り物。

岩手特産の浄法寺漆器です。

 

中里さん、本当に有難うございました!

 

※産地の写真は中里さん提供