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「いいもの」つくり手紹介

(資)丸新醤油醸造元


とれたての大豆
とれたての大豆
小麦の収穫中です
小麦の収穫中です
大豆畑
大豆畑
大賀香榮さん
大賀香榮さん
伊勢丹新宿本店の島根フェアで
大賀進さん
収穫した小麦を手にする大賀進さん
「うちの商品が家庭の幸せな団欒のささやかな助けになれたら・・・」

島根県益田市。山口県との県境に位置する人口5万人の海沿いの町に、「いいもの」認定商品の「マルシンのだしぽん」、「だしの花」をつくる丸新醤油さんはあります。大賀進さんとその家族、数人の従業員が守る、小さな小さな醸造元です。



醤油の原材料となる大豆・小麦を自社の農地で栽培

「だしの花」のレシピブックの表紙に書かれた「わたしたちの醤油造りは、土作りに始まる」。この言葉が、ものづくりに取り組む姿勢のすべてをものがたります。
同社では自社で醸造を行うのはもちろん、醤油の原材料となる小麦と大豆の栽培を、自社の農地で手がけているのです。
肥料は地元の畜産団地の牛糞発酵たい肥の有機肥料のみを使用。小麦管理は県からエコファーマーとしての認定を受けている農家、大豆管理は定年退職して専業農家になった元社員に委託し、それに大賀さんも加わって栽培を行っています。
現在、全国には大小合わせると約2000件の醤油屋がありますが、醤油の製造に使用されるのは、アメリカ・カナダなどから輸入された大豆や小麦。たとえ原材料にこだわりを持つメーカーであっても、国産丸大豆を購入して使用しているのが一般的で、原材料を自社で生産しているメーカーは、大賀さんが知りうる限りは存在しないといいます。
同社でも以前は外国産の大豆や小麦も仕入れて使用していましたが、10年ほど前から現在のような方針に切り替えました。ちょうど、遺伝子組み換え大豆についての問題が騒がれはじめた時期です。
「厚生省も農水省も遺伝子組み換えでも大丈夫って言っているけれど、なんでこんなにセンセーショナルに騒がれるのだろうか、という疑問を持ちました。その頃、たまたまある専門家の話を聞く機会があって、アメリカでは遺伝子組み換えの大豆は国内消費じゃなくて、輸出用にしていると聞き、待てよ、それって極端に言えば外国で人体実験をしようってことか?と、ちょっと頭に来たんです」。
そのときに感じた疑問が大きな原動力となって原材料の自社栽培をスタートさせたわけですが、これはたいへんな苦労を伴う決断でした。
山を切り開いた農地は機械の損傷が激しく効率が悪い。農薬を使わない栽培であるために収量が一定しない。収量が多い年でさえ、原材料にかかるコストはそれまでの4倍以上に及んだそうです。
同業者のなかには、「なんでそんなバカなことをやってるんだ」と呆れ顔で忠告する人もいました。でも、周囲に宣言して始めたこと。簡単にやめることなどできません。大賀さんは歯をくいしばって、原材料の自社栽培を続けました。



買い手にも、店の人にも商品のことをよく知って欲しい

同社はもともと益田市近隣向けに商売をしていたのですが、数年前、県の主催するセミナーでコンサルタントから言われた「これいいよ。なんで東京向けに売っていかないの?」という言葉がきっかけとなって、都市部へと販路を広げることにしました。
そのための商品として選んだのが、「いいもの」に選ばれている「だしぽん」と「だしの花」。醤油は味の好みに地域性があり、今使っているものからの切り替えてもらうのは難しい。でも、ポン酢やだししょうゆであれば、知名度の低いメーカーの商品であっても、一度は試してもらえるのではないかと考えてのことでした。
味はあえてそのままとし、ボトルの形状とサイズを変更。実績のあるデザイナーの協力を得て、ラベルも魅力的なデザインに切り替えました。
商品が完成し、次に課題になったのは、どう売るかでした。心からの想いのこもった商品です。大賀さんは自分たちの目の届かないところに並べるのではなく説明して売ろう、と決めました。買い手にはもちろん店の人にも商品のことをよく知って欲しいという思いから、できるだけたくさんの店を回り、自らが売り場に立って試食販売を実施することにしたのです。
いま、その販売の最前線に立っているのが一人娘の大賀香榮さん。多いときは月のうち3分の2は全国のスーパーマーケットや百貨店、取引先を忙しく飛び回っています。
大きな声で元気はつらつ。今ではこの仕事を心から楽しんでいる様子の香榮さんですが、家業を継ぐ決意をして実家に戻ったのは3年ほど前のこと。
香榮さんは高校を卒業後、東京の大学に進学。卒業後も引き続き東京にとどまって社会人として働いていました。いずれは地元に戻ることも選択肢の一つとして考えてはいましたが、家業を継ぐことに、迷いがなかったわけではありません。
そんな香榮さんの迷いを取り去ったのは、父の進さんの醤油造りにかける想いと、つくり手・商人としての正直な姿勢だったといいます。

醸造元という看板の重み

いま、麹からの醤油づくりを行っている蔵元は年々減少しており、生揚醤油を仕入れて加工、自社ブランドのラベルをつけて販売する蔵元が多数を占めています。
「うちは社名に醸造元とつけています。醸造元の看板を掲げている限り、麹をつくって醤油をつくるってことは、絶対辞めないって父は言うんです。もし、よそでつくったものを仕入れるような商売をやっていたら、絶対に家業を継ぎたいなんて思わなかったでしょうね」。
香榮さんの仕事は試食販売だけでなく、自社商品を使ったレシピや販促ツールの作成など、多岐に及んでいます。
それに加え、最近は仕込みの作業も手伝っています。時には徹夜にもなるという力のいる作業ですが、「つくる仕事に携わるようになってから、この仕事がいっそうおもしろいって感じるようになった。出来上がってくる商品が、本当に可愛いって思う。もし私に子どもができたとしたら、こんな感じなのかなって思うくらい」と笑います。
香榮さんが一番嬉しい瞬間は、お客さまから「おいしいかったよ」との声をもらったとき。いいものプロジェクトのモニターさんたちからもらった声を読み返していると、元気がむくむくわいてくるそうです。
試食販売がきっかけで丸新醤油の商品のファンとなり、ケースで取り寄せて友人・知人に分けてくれるようなお客さまも徐々に増えてきました。
「うちの商品が家庭の幸せな団欒のささやかな助けになれたら・・・」
それが大賀さんたちの願いです。

 


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